統合失調症とは? ~正しい理解と温かい支援のために~
- rehabiliport2019
- 4月10日
- 読了時間: 4分
更新日:2 日前
はじめに
統合失調症という病名を聞くと、少し特別な、あるいは遠い存在のように感じる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、この病気は決して他人事ではなく、私たちの身近にあるものです。実際、高齢者施設を探されている方の中にも、統合失調症と共に生活されている方がいらっしゃいます。
統合失調症とはどのような病気か
この病気は、考えや気持ち、行動などをまとめ、目的に沿って適切に行動する能力(統合機能)が、様々な理由でうまく働かなくなってしまう状態が続くものです。主な症状として、実際にはないものを感じてしまう「幻覚」(例:誰もいないのに声が聞こえる)や、現実とは異なる内容を強く信じ込んでしまう「妄想」(例:誰かに監視されている、悪口を言われている)が現れることがあります。また、考えがまとまらず話が支離滅裂になったり、意欲が低下して身の回りのことに無関心になったり、感情の表現が乏しくなったりすることもあります。

心の統合力は誰でも揺らぐもの
実は、この「統合する力」は、健康な人でも、過労や強いストレス、不安、体調不良などによって一時的に不安定になることがあります。普段ならできることが上手くできなかったり、考えがまとまりにくくなったりするのは、誰にでも起こりうることです。
ただ、統合失調症の場合は、このような不安定さが長く続き、幻覚や妄想といった症状がはっきりと現れるようになると、専門的な治療(主にお薬による治療)が必要になります。そして、症状が落ち着いた後も、社会の中でその人らしく安定した生活を送るためには、継続的なリハビリテーションや周囲のサポートが非常に重要になります。
「見えにくい困難」との向き合い
統合失調症と診断されるには、幻覚や妄想などの比較的はっきりした症状(陽性症状)が重要視されますが、ご本人やご家族がより長く困難を感じるのは、むしろ「考えがまとまりにくい」「疲れやすい」「集中力が続かない」「意欲がわかない」「人付き合いが苦手」(陰性症状や認知機能障害)といった、目立ちにくい症状であることが少なくありません。
多くの方は、このような「見えにくい困難」と日々向き合いながら、ご自身のペースで社会生活を送る努力を続けています。例えば、会話中に場の空気を読むことや、相手の気持ちを推測することが難しく感じられたり、周りから見ると少し的外れに見える行動をとってしまったりすることがあります。また、着替えや料理など、以前はスムーズにできていた日常的な手順が分からなくなってしまうこともあります。
発症の原因について
統合失調症の原因は、まだ完全には解明されていません。一つの病気ではなく、いくつかの異なる原因やタイプがあるのではないかとも考えられています。
現在では、もともと持っている遺伝的な要因(病気になりやすい体質)に、人生の中で経験する様々な環境的なストレス(特に人間関係のストレスやライフイベントなど)が複雑に絡み合って発症に至ると考えられています。
重要なのは、原因探しをすることではなく、ご本人が安心して治療やリハビリに取り組める環境を整えることです。
統合失調症は、世界中どこでも、約100人に1人が生涯のうちにかかると言われています。決して稀な病気ではありません。日本の厚生労働省の調査では、約67万人が治療を受けていると報告されています。
治療と支援のあり方
治療の基本は、「薬物療法」と「心理社会的な支援(リハビリテーションなど)」、そして「福祉サービスや地域によるサポート」を組み合わせることです。
薬物療法では、主に脳内の神経伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)のバランスを整える薬が用いられます。近年、新しいタイプの薬(非定型抗精神病薬)が登場し、幻覚や妄想を抑える効果だけでなく、意欲の低下や思考のまとまりにくさといった症状の改善も期待できるようになってきました。これにより、社会生活を送る上で大切な能力の回復を、より一層サポートできるようになっています。
心理社会的な支援には、病気や薬について正しく理解するための心理教育、対人関係スキルや日常生活スキルを身につけるための訓練(SST:社会生活技能訓練など)、作業療法、デイケアなどが含まれます。また、ご家族へのサポートも重要です。
さらに、障害福祉サービス(就労支援、住居支援など)や地域の支援機関(保健所、精神保健福祉センターなど)と連携し、その人らしい生活を社会の中で送れるように支えていくことが大切です。
私たち、あんしんホームにできること
私たちあんしんホームでは、統合失調症というご病気に対する正しい知識と深い理解に基づき、ご本人様やご家族様のお気持ちに寄り添いながら、安心して生活できる施設探しのお手伝いをさせていただいております。
今後も、医療や介護に関する最新の情報を取り入れ、専門性を高めながら、皆様の施設入居に関するサポート・支援に努めてまいります。

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