【徹底解説】インスリン注射が必要な方の有料老人ホーム選び~安心して暮らすために知っておきたいこと~
- rehabiliport2019
- 5月26日
- 読了時間: 8分
「インスリン注射が必要だけど、老人ホームでちゃんと対応してもらえるんだろうか…」 「家族が糖尿病で、インスリン注射に対応してくれる施設を探しているけれど、どこを選べばいいの?」
そんな不安や疑問をお持ちではありませんか?
インスリン注射が必要な方が有料老人ホームを選ぶ際には、確認すべきポイントがたくさんあります。この記事では、糖尿病とインスリン注射の基礎知識から、老人ホームでの具体的な対応、施設選びで失敗しないための重要ポイントまで、詳しく解説します。

そもそも糖尿病とインスリン注射とは?
まずは基本をおさらいしましょう。
糖尿病とは?:
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高い状態が続く病気です。健康な人なら、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンが血糖値をコントロールしてくれます。インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込ませ、エネルギーとして利用させる大切な役割を担っています。
しかし、糖尿病になると、このインスリンの分泌が不足したり、うまく作用しなくなったり(インスリン抵抗性)することで、血液中に糖が溢れてしまい、血糖値が上がってしまうのです。
糖尿病には、主に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります。
1型糖尿病: 自己免疫疾患などにより、すい臓でインスリンを作るβ細胞が壊れてしまうため、生涯にわたるインスリン注射が不可欠です。若い方に多いイメージがありますが、高齢で発症することもあります。
2型糖尿病: 加齢、肥満、運動不足、食生活の乱れ、遺伝など、様々な要因が絡み合って発症します。日本の糖尿病患者さんの約9割がこのタイプです。初期は食事療法や運動療法、飲み薬で治療しますが、進行するとインスリン注射が必要になることがあります。
インスリン注射の種類と特徴
インスリン製剤には、作用が現れる速さや持続時間に違いがあり、患者さんの状態や生活スタイルに合わせて医師が種類や投与回数を決定します。
種類 | 特徴 | 効果持続時間 |
超即効型 | 食事直前に注射し、すぐに効果が現れる | 約3~5時間 |
即効型 | 食事約30分前に注射 | 約5~7時間 |
混合型 | 即効型と中間型の混合。1日2回の注射が一般的 | 約12~16時間 |
中間型 | 基礎インスリン補充に用いる | 約12~16時間 |
持続型 | 1日1回注射し、血糖値を安定させる | 約24時間 |
【重要】インスリン注射は「医療行為」です
ここが非常に大切なポイントです。インスリン注射は法律上「医療行為」に分類されます。そのため、注射を行えるのは医師、看護師、または医師の指示を受けたご本人やご家族のみです。介護職員が代行することはできません。
つまり、ご本人が自己注射できない場合、看護師が常駐しているか、定期的に訪問してくれる体制のある老人ホームでなければ、適切なケアを受けることが難しくなります。
老人ホームでのインスリン注射、どう対応してくれるの?
老人ホームでのインスリン注射の対応は、ご本人の状態や施設の体制によって異なります。
【ケース1】ご本人が自己注射できる場合
認知機能に問題がなく、ご自身で注射のタイミングや量をきちんと理解・管理できる場合は、自己注射が可能です。この場合、日中のみ看護師が在籍する介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)なども選択肢に入ります。
ただし、注意点もあります。加齢とともに記憶力や視力が低下し、注射の失敗や打ち忘れが起こりやすくなることも。そのような場合に、すぐに相談・フォローしてもらえる体制があるか入居前に確認しておきましょう。
【ケース2】看護師に注射を依頼する場合
ご本人が注射できない場合や、夜間の注射、頻回の注射が必要な場合は、看護師が常駐している施設を選ぶ必要があります。
日中のみ看護師が在籍する施設: 1日に1~2回の注射で対応できる方に適しています。
24時間看護師が常駐する施設: 夜間の注射が必要な方、血糖コントロールが不安定で急変のリスクがある方、頻回な注射が必要な方にとっては、24時間体制で看護師が見守ってくれる環境が安心です。
看護師に注射を依頼する場合、食事のタイミングに合わせた正確な投与はもちろん、血糖値の測定や、万が一の低血糖時の迅速な対応も期待できます。また、医師と連携を取りながら、日々の状態に合わせて注射量を調整したり、治療方針を見直したりといった、きめ細やかなケアが可能です。
後悔しない!インスリン注射が必要な方の老人ホーム選び【6つの重要ポイント】
インスリン注射が必要な方が老人ホームを選ぶ際に、必ず確認してほしいポイントをまとめました。
看護師の勤務体制:
食前の注射タイミング(超即効型や即効型の場合)に、看護師が対応できるか?
夜間のインスリン注射や、緊急時の対応は可能か?(日中のみ、24時間常駐など)
医師との連携体制:
日々の血糖値の記録などを共有し、インスリン量の調整について相談できる協力医療機関はあるか?
緊急時に医師が往診してくれるか、またはスムーズに受診できる体制か?
食事療法への対応:
糖尿病の方向けの、糖質制限やカロリーコントロールされた食事が提供されているか?
管理栄養士が献立作成に関わっているか?
夜間の緊急対応体制:
夜間に体調が急変した場合、看護師や医師に連絡が取れるオンコール体制は整っているか?
迅速に適切な対応をしてもらえるか?
自己注射が困難になった場合の対応:
入居時は自己注射が可能でも、将来的に難しくなった場合に、看護師による注射代行に切り替えられるか?
それが難しい場合、転居の必要性や、その際のサポートはあるか?
施設の設備や安全対策:
低血糖などの緊急時に備えて、訪室や見守りの頻度、モニタリング体制はどうか?
知っておきたい「低血糖」のリスクと対応策
インスリン注射を行っていると、血糖値が下がりすぎてしまう「低血糖」を起こすリスクが常に伴います。低血糖は、対応が遅れると命に関わることもあるため、正しい知識と迅速な対応が非常に重要です。
低血糖のサインを見逃さないで!
初期症状: 強い空腹感、口の渇き、生あくび、吐き気、冷や汗、手の震え、動悸、不安感など。血糖値が70mg/dL以下になると現れやすく、ご本人も気づきやすい症状です。
重症化すると…: 意識がもうろうとする、けいれんを起こす、昏睡状態に陥ることも。転倒や事故につながる危険性もあります。
低血糖が起きたらどうする?
初期症状に気づいたら、我慢せずにすぐにブドウ糖や糖分の含まれるジュース、飴などを摂取することが大切です。看護師が常駐している施設であれば、迅速かつ適切な処置を受けることができ安心です。
ご家族や施設のスタッフも、低血糖の兆候を正しく理解し、ご本人の「いつもと違う」様子にいち早く気づき、対応できる体制が整っていることが望ましいでしょう。
その他、老人ホーム選びで確認しておきたい大切なこと
上記のポイントに加えて、以下の点も確認しておくと、より安心して生活を送ることができます。
インスリン量の調整: 食事の量や内容、体調の変化(発熱、下痢など)によって、インスリンの注射量を調整する必要が出てくる場合があります。看護師が日々の体調を細やかに観察し、医師と連携して適切に対応してくれるか確認しましょう。
ご家族への情報共有: 血糖値の状況や体調の変化、治療の経過などについて、定期的にご家族へ情報共有を行ってくれる施設であれば、離れて暮らしていても安心です。
終末期のケア: 糖尿病の合併症が進行した場合の終末期医療や、看取りに対する施設の考え方や対応についても、事前に確認しておくことが大切です。
まとめ:あなたに合った老人ホーム選びを
インスリン注射が必要な方の老人ホーム選びは、確認事項が多く大変だと感じるかもしれません。しかし、ご本人やご家族が安心して穏やかに暮らせる場所を見つけるためには、事前の情報収集と確認が何よりも大切です。
ご本人が自己注射可能な場合: 比較的自由度の高い有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も選択肢に入ります。ただし、将来的に自己注射が難しくなった場合の対応策は必ず確認しましょう。
看護師による注射代行が必要な場合: 看護師が常駐する有料老人ホームが安心です。必要な注射の回数や、夜間対応の必要性に応じて、看護師が日中のみ在籍する施設か、24時間常駐する施設かを選びましょう。
この記事が、あなたやあなたの大切な方の老人ホーム選びの一助となれば幸いです。
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